如何お過ごしですか? 3回連続10cmです。
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地味な土木小ネタシリーズ。本日はボックスカルバートです。
道路が交差するって?
通常、一般道路が交差する時は平面交差といって、ふたつの道路が平面的に交差して信号制御されています。
一方の道路が青信号で車が通る時は、交差している道路は赤でストップ。その逆もありですが、基本的にひとつの道路のみ通行可能です。まあ言わば普通の交差点です。
じゃ、ボックスカルバートって何なん?
例えば高速道路と一般道路が交差するとしましょう。
高速道路に信号がありますか?ないでしょ。
という事は交差点(信号制御)すなわち平面交差じゃなくて、立体交差が必要になります。
ボックスカルバートという構造物を作って、上の道路と下の道路が立体交差できるようにします。
ボックスカルバートの中を通るFerrariの様子です。上の道路があるにも関わらず、下の道路は上の道路を貫通していて、その貫通した空間を車が通ります。
これが実際のボックスカルバートです。
このボックスカルバートは黄色い壁(仕切り)があって車が通るところと人が通る二つの空間があります。
用語説明。
ボックスカルバートは上の道路を貫通しているのですから、上下左右を土で囲まれています。周りは土なのでコンクリートの壁で土を遮って車が通る空間を作ります。
車が通る空間を内空(ないくう)、屋根の部分を頂版(ちょうばん)、横の壁を側壁(そくへき)、床の部分を底版(ていばん)と言います。
荷重。
例によって、頂版には土の重さ、側壁には土圧(土の圧力)、底版には全体の重さが作用するゆえの地盤反力が作用します。私事ですが、この矢印マーク好きなんです。矢印マークは構造系の基本っちゃ基本なんです。
モーメント図。
上記荷重が作用すると下図のようなモーメントが発生します。
周りの土がボックスを上下左右から押して潰そうとするのです。それによってモーメントが発生します。
モーメントに関しては、先日の逆T式擁壁も絡めていただくとよく分かると思います。
配筋。
で、そのモーメントに対して壊れないように鉄筋を配置して頑丈にします。
実際のボックス。
こういうふうに現場でボックスカルバートを作ってから、土を盛って上の道路を作っていきます。
http://www.kcon.co.jp/staff_detail?Ndetail=a0Q100000059kJr
補足。
先日の逆T式擁壁の記事でid:edwalk様から、
こう言う物は工場で作ってトラックで現場に運んでクレーンで所定の位置に据えるのでは?
というコメントをいただきました。仰るように既製品もあります。
既製品のメリットは
工場製作なので品質管理が行き届く。
出来たものを持って来てクレーンで据えるだけなので施工が早い。
デメリットは
お金が高い。
トラックやセミトレーラーで運ぶので大きさに限度がある。
異形物(平面的に折れ曲がる、小さい曲線、高さが変化)に弱いなど。
現場で作るメリットはどんな形でも任意に対応出来る。既製品より安い。
デメリットは天候に左右されたり、鉄筋を組立てたり、コンクリートが固まるのを待たなければいけないので施工が遅い。
といったところでしょうか。
編集後記
ボックスカルバートいかがでしたか?
きっとみなさまの身近にもあると思います。ただ、実際にはボックスはほとんど土に埋まっていて目視できるのは一部分だけですので、注意していないと見過ごすかもわまりません。
ちょっとでも土木構造物に親しんでもらえると嬉しいです。
土木ネタを書くときいつも思うのですが、文字で表現するって難しい。