如何お過ごしですか? 3回連続10cmです。
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地味な土木小ネタシリーズ。
今回は『会計検査』の話です。
少し端折ったりざっくりしたところもありますが、概ねの事が分かっていただけるように書いたつもりです。
ひとつよろしく。
会計検査とは。
税金や国債の発行による国のお金は、当然国の仕事をするために使われます。
その国のお金が適正に安全に無駄なく使われているかどうかチェックすることです。
例えば、国のお金で橋を作ったとしましょう。
その橋は
安全を確保出来すように設計されているか?
過大設計ではないか(=無駄に強度を強くしていないか)?
施工に於いて適切な材料を使っているか?
施工に不備なくその構造・強度や安全を確保できているか?
などをチェックします。
また自衛隊の訓練で大砲をばんばん撃ったとしましょう。
その大砲の弾も当然国のお金です。
何発撃ったか?とか、何のために撃ったか?とか細かくチェックされるそうです。
会計検査院とは。
上記チェックを行う機関です。
会計検査院は国の重要な仕事を他から制約を受けることなく厳正に果たせるよう、国会、内閣、裁判所いずれの機関からも独立しています。
会計検査は国の仕事が対象になる。
会計検査とは先ほども書きましたが、国のお金が適正に安全に無駄なく使われているかどうかチェックすることですので、国のお金を使っていない仕事は対象外です。
例えば、香川県単独のお金(=県単独事業)で橋を架けた場合は会計検査の対象にはなりませんが、国土交通省の仕事に関しては国土交通省は常に国からお金を貰って仕事をするので会計検査の対象です。
ただし、香川県の仕事でも橋の規模が大きすぎて香川県のお金だけでは足らない場合国から補助金を受けます(=国庫補助事業)が、その場合には会計検査の対象になります。
また最近の災害などで国が『○○億円の予算を計上した』などというのを見たことがあると思いますが、これ関連で川の堤防を直したりするのも会計検査の対象です。
国のお金で仕事をする=会計検査の対象。
土木設計と会計検査。
例えば橋なら、
今年新しい橋を設計する→数年後にその橋を施工するという順番になります。
厄介なことに会計検査は施工後に実施されます。
設計段階で入念な検算等はやりますが、どうしても人間がやる事なのでミスもあります。
つまり、設計段階でスカこいていてもそのまま施工されてしまうことになります。
施工後の会計検査で『設計に不備があり国のお金が適切に使われていない』ということになったら、結構ヤバいのです。
もし設計段階でスカこいていたら。
パターン①:必要な部材厚が1.0mのところを誤って1.5mで設計していてそのまま施工された。
これは、過大設計(=不必要に材料を多く使う)でお金の無駄が発生しています。
ただし、安全性に関しては大丈夫というか安全過ぎる物が出来ています。
この場合は国にその無駄分のお金を返します。まだお金で仕舞がつきます。
パターン②:必要な部材厚が1.0mのところを誤って0.5mで設計していてそのまま施工された。
これ最悪なんです。
もう物は出来上がっているのに安全性が確保出来ていない(=壊れる可能性がある)わけですので作り直しです。
土木構造物って割と土の中に埋まっている部分が多いんですよね。
掘って、壊して、作り直すのです。
その費用は?
はい、設計会社が出さなくてはなりません。
まぁ、県の仕事なら県にも落ち度がありますので県と設計会社の折半という場合もありますが。
ただし土木構造物の場合、物自体が結構大きいので金額も大きいです。
また施工段階での不備も同様で、安全過ぎるのはお金を返す。安全性が確保できていないものは作り直す。
パターン②は設計した当事者も、施工した監督も命を削られる思いでしょう。
幸いにも私は作り直しまでのスカをしたことは無いんですが、単に会計検査で見落とされている可能性もあるのですべての設計が完璧に出来ているかどうかは定かではありません。
たぶんイケとると思うけどなw
余談。
ここでこれを言っちゃぁお終いなんですが、設計ってある程度余裕を持っています。
例えば100の力が作用する部材を100の力が作用しても大丈夫なように設計すると、だいたい200くらいの力に耐えることが出来るんです。
すなわち、部材の必要厚さが足らない=即壊れる じゃないんです。危険ではありますが。
編集後記
土木設計と会計検査、いかがでしたか?
この業界も色々と裏事情があるんです。
土木をチクチクつつくのもいいんですが、議員の数や、議員の給料にも会計検査をぶっこんで国のお金を適切に使ってるかどうかチェックしてほしいものです。