如何お過ごしですか? 3回連続10cmです。
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地味な土木小ネタシリーズ。
今回は無電柱化(=電線の地中化)をざっくりいきます。
電柱って何?
https://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_00723/
電線は電気を通す線なので電力会社から各家庭まで繋がっていますね。
また電話線もしかり、日本中に張り巡らされています。
けど電線ってぴーーんと目いっぱい引っ張って電力会社から各家庭まで1本の線で直通じゃないですよね。
遠いと弛んでしまってぴーーんと張れないし、曲がり角だってあるだろうし。
そこで所々に支柱を立てて支柱間で電線を張ったり、支柱を介して電線を分岐したりしています。
その支柱が電柱なんですね。
あっ、ご存知でした?
けど日本中に電柱って何本あるかご存知ですか?
なんと3,500万本あるんだって。
とっても沢山ありますね。
無電柱化ってその電柱を無くすの?
そうです、電柱を無くすんです。
下の写真をご覧ください。向かって左はbefore(電柱や電線あり)、右がafter(電柱電線なし)です。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO10969740S6A221C1000000/
そこそこスッキリしましたね。
ただし、信号の支柱・標識・街灯類、こいつらは取っ払っちゃったら危険ですから残しています。これは今後の課題です。
電柱は単なる支柱だからアレだけど、電線はどこに行ったの?
はい。みなさんが歩く歩道の中に埋めちゃいました。
これが、無電柱化=電線の地中化です。
http://www.ktr.mlit.go.jp/sobu/sobu_index041.html
http://www.cbr.mlit.go.jp/joho_box/muden/
なんでこんなことすんの?
・景観性=見た目がきれい、すっきり。
・歩道の有効利用=人の導線は電柱を大きく避けるので電柱が無い方が歩道を広く使える(下図)。
などもありますが、何といっても災害時に強い=電柱が無い方が安全です。
台風で電柱が倒れて大規模停電や人が下敷きになって亡くなることもありますよね。
電柱が無かったらそんなことは起きません。
下表は電柱ありと無電柱化の安全比較です。
他にも以下のようなメリットがあります。
ただし日本は無電柱化率が低い。
諸外国に比べると全くダメ。日本の無電柱化率はむちゃくちゃ低いです。
なぜ無電柱化が低いのか?
無電線化率が低いことにはいろいろな要因がありますが、
無電線化のデメリットも無電線化率が低いことの一つの要因であると考えられます。
デメリット。
①お金。
だいたい30万円/m(金額は現場状況によっても変わるのでおおよその数値です)。
電線を埋めるのに1メートル当り30万円も必要。1メートル(=二歩)でだよ。
100メートルなら3,000万円。1キロメートルなら3億円。
②工事が長時間に及ぶ。
電柱を立てるだけなら1本あたり数時間です。そして電線を引っ張って。高所作業車等は必要ですが、通常の作業です。
無電柱化は、電線類をすべて地中に埋めるので土を掘って、電線類をセットして、土を戻して、その上にまた舗装を被せたりと工程が多い分時間がかかります。
③損傷個所が見つけづらい。
電線類が地中に埋まっているので、壊れたところの限定が難しい。
電柱なら、電線が外れているとか、どの電柱が倒れているとか一目瞭然ですよね。
けど地中に埋まっている(=目視できない)ので復旧に時間がかかります。
④変圧器などが必要。
これは電気関係ですが、変圧器などの付属物も歩道内に設置しなければならないのでそのスペースが必要。
電柱ありの場合は電柱の上に変圧器を設置しているのですが、電柱を取っ払ったのに変圧器をポンポン置いたらまた歩道が狭くなる。
編集後記
無電柱化(=電線の地中化)いかがでしたか?
メリットの中で、やっぱり災害に強いというのが魅力ですね。
ただ、どうしてもメイン道路や人目に触れやすい道路から整備していく傾向が強いんですね。
オリンピックに合わせて、外国の方が来るので整備するとか。
じゃなくて、本当は全ての電柱を対象に無電柱化してほしいんだけどね。