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地味な土木小ネタシリーズ。
逆T式擁壁(ぎゃくTしきようへき)という構造物の紹介です。
逆T式擁壁とは。
http://www.skr.mlit.go.jp/yongi/dbkj/t.html
こんな感じです。アルファベットのT字を逆向き(=逆T式)にしたようなコンクリートでできた物体です。写真はコンクリートしか見えませんが、内部には強度を確保するために鉄筋が配置されています。
このような使い方をします。右側と左側の地面に高低差がありますね。
ということは、右側から左に向かって土圧が作用します。
土圧とは:水にも水圧があるように土にも土圧というものがあります。土圧とは、地盤内における土による圧力、土が押す力。
その土圧に抵抗できるように厚さや大きさを決定します。
逆T式擁壁は、抗土圧構造物(土圧に抗う構造物)です。
いつも土圧を背負って頑張っています。
逆T式擁壁の使用目的。
例えば下図のように、今の地面から嵩上げして宅地を作るとしましょう。当然、高低差が出来ます。
土は真っすぐ鉛直に自立することが出来ないので、安定勾配が必要です。宅地のスペース+法面=宅地を造成するために必要なスペースです。宅地のスペース以外に法面分の土地が余分に必要です。
ここで逆T式擁壁(直壁)を使ったら、法面分の土地が必要なくなります。このように、法面を無くして必要な土地を最小限にすることが出来ます=土地購入費用が最小限。
ただし、土地は最小限に出来ましたが、逆T式擁壁を作る費用は発生します。メリットがあるのかどうかよく分かりませんね。次項で説明します。
法面vs逆T式擁壁の例-1。
家が建て込んでいるところに道路を作るとします。
道路の真下=青いハッチングの部分はいずれにしても土地購入費・家の補償費が要りますが、問題は道路以外の部分です。
下図のように土と法面で道路を作ったら、法面分の土地購入費と家3軒分の補償費が発生します。
法面の長さを20m、土地代=10万円/m2、家の補償費=2,000万円/軒としましょう。奥行(=道路の延長)100m作るとしましょう。
道路以外の部分の必要費用は
土地購入費用=20m×奥行100m×10万円/m2=2億円
家の補償費用=3軒×奥行100mで5軒×2,000万円=3億円
法面盛土=100m3×奥行100m×5,000円/m3=0.5億円
合計5.5億円。
逆T式擁壁で道路を作ると、法面に比べて少ない土地購入と1軒分の補償費だけで済みます。
道路以外の部分の必要費用は
土地購入費用=5m×奥行100m×10万円=0.5億円
家の補償費用=1軒×奥行100mで5軒×2,000万円=1億円
逆T式擁壁=100万円/m×奥行100m=1億円
合計2.5億円。
数量や金額はざっくり(当たらずしも遠からず)ですが、逆T式擁壁を使った方が明らかに安価ですね。みなさまの税金なので安価な方がいいですよね。
これが逆T式擁壁(直壁)のメリットです。
このように、家が密集しているところに嵩上げなどして何か作る時に効果を発揮します。
家が密集しているところに何か作らなくてもいいやん!って意見もありますが、まぁ、それは置いといてw。
法面vs逆T式擁壁の例-2。
本線道路と側道が並列するような場合も、同じです。
法面だと大きなスペースが必要ですが、逆T式擁壁を使えばそれよりも小さなスペースで収まります。
編集後記
逆T式擁壁、いかがでしたか? なんとなくイメージできましたか?
高低差のあるところでコンクリートの直壁があったら、逆T式擁壁かもわかりませんよ。機会があったらまた見てみてください。
いつも背中に土を背負って自分を犠牲にして、お安くお得に仕上げる。
まぁまぁいいやつでしょ。
みなさまにはほとんど何者かもわからない土木構造物、毎日毎日 土(=土圧)と戦っています。
車の写真は以下URLより引用させていただきました。
https://auto.ferrari.com/ja_JP/sports-cars-models/car-range/