如何お過ごしですか? 3回連続10cmです。
当ブログにお越しいただきありがとうございます。
いつも本当にありがとうございます。
自分は土木技術者ですがどうにもならない無力さを感じています。
今日は新しい記事を投稿する気にはなれなくて、過去記事を垂れ流しします。
不謹慎ですが川が溢れるという内容です。
今後、みなさまの何かのお役に立てればと思って3度めの投稿です。
今回の加筆は青文字です。
この記事は2018年07月09日(西日本豪雨の後)に投稿したものを、加筆修正して2019年10月13日に再投稿したものです。
今回の大雨も日本中に爪痕を残して去っていきました。
犠牲になられた方には衷心よりお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆様方にお見舞い申し上げます。
大雨によってもたらされる河川氾濫や土砂崩れ。
これらは無くならないのでしょうか?
今回は『川はなぜ溢れるのか?』と題してちょっとした用語や、川が溢れる背景を簡単に説明します。
概要を説明したいだけですので、専門家の方の厳しい突っ込みはお手柔らかにお願いいたします。
流域面積
川には流域面積(集水面積のようなイメージ)と言うものがあります。
下図のピンクで囲まれた面積が流域面積です。
矢印は水の流れを示しています。
流域面積は山の尾根を結んだ線と海岸線に囲まれた範囲です。
山の尾根を境に尾根の川側に降った雨は本川に流れ込んできます。
山の尾根より向こう側の雨は流れ込んできません。
流域面積が大きいほどその川には多くの水が集まります。
流化能力
流化能力(=流量:Q)とはその川が持っている水を流す能力です。流化能力は概ね川の断面積に比例します。
Q=A×V
A:断面積=水が流れる部分の面積(=流下断面)です。
V:流速=水が流れる速度です。
流下能力(=流下断面)が大きいほど多くの水が流れます。
雨量
流下断面を設定(整備)するに当たって雨の量を把握するためには色々なパラメータがあります。が、ややこしくなるのでここでは一連の雨で降る雨量とします。
仮に過去に下のグラフのような雨が降ったとします。
数字は本題と関係ないので適当です。
確率年
この雨量を基に川の流下断面を設定(整備)するのですが、更に確率年というものがあります。
確率年とは再現期間とも言われいて、
過去何年間か遡ってその間に降った最大の雨に対応できるような流下断面を決めようと言うもので、その遡る期間=確率年です。
確率年が大きいほど遡る期間が長くなり、当然大きな流下能力が必要になります。
確率年は川の規模や想定災害の大きさなどによって行政が決めています。
例えば都市部の大河川ならこの川が氾濫したら大きな被害が出るので遡る期間を100年にしよう。
山間部で回りに民家もない小河川なら10年にしよう。
とか
。
先ほどのグラフに確率年を重ねたものです。
確率年30年の最大降雨量は700mmです。
確率年50年では800mm、100年では900mです。
更に過去500年では最大1200mmもの雨が降っています。
川はなぜ溢れるのか?
上を整理すると
川は流域面積を持っています。
流域面積と雨量と確率年によって川の流下能力(=流下断面)が設定(整備)されています。
ここまでやっておきながら
なぜ川は溢れるのでしょうか?
簡単な算数です。
川は流域面積と雨量と確率年によって流下能力が設定(整備)されているので、設定を超える雨が降ったら川は溢れます。
例えば川の流下能力を確率年100年で設定(整備)していても過去500年間の最大雨量が降ったら=OUTと言う事です。
その設定が妥当かどうか?とか
雨量が設定の想定外だろうが想定内だろうがそんなことは関係ありません。
キャパオンかキャパオーバーかで答えが出ます。
溢れない川は作れないのか?
物理的には作れなくはないと思います。
日本中の川の堤防を頑丈なコンクリートか何かで10数mほど嵩上げしたら溢れないのではないでしょうか。
現実には無理ですが。。
仮に過去に降った雨量の正確な統計がとれている期間が200年だったとしましょう。
その統計を基に確率年200年の雨が降っても流れる川を作ったとしましょう。
ぶっちゃけその川は『確率年200年規模の雨が降っても溢れないでしょうが、それ以上の雨が降ったら溢れるかも分かりません。いや、きっと溢れるでしょう。』という事になります。
統計が500年間あったとして確率年を500年に引き上げても同じです。
過去にも統計以上の雨が降っているかも分かりませんし、今後も統計を塗り替えるような大雨が降るかも分からないのですから。
現状では完璧に溢れない川は作れないと思います。
最後に
川が溢れる背景、今までよりも少し突っ込んで分かっていただけたでしょうか?
川が持つ流下能力よりも大量の水が流れてきたら溢れるという単純な事ですが、どうにかならないものでしょうかね?土木業界に身を置きながらイラつきます。
お詫び
正確には『川から水が溢れる』ですが、『川が溢れる』と表現させていただきました。申し訳ございません。お詫び申し上げますが、敢えて訂正は致しません。
編集後記
私事で恐縮ですが自分の周りの方々や身内の者に大きな被災はありませんでした。
ただ四国でも災害が発生しています。
来週辺りは自分も河川災害復旧の設計図面を書いているかも。。です。
今回の2019年台風19号も異常な災害をもたらしました。
今回の九州の豪雨、まだまだ予断を許しません。どうかお気を付けください。
ご自身の命が一番大切です。
犠牲になられた方には衷心よりお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆様方にお見舞い申し上げます。
明日を見るしかありません。