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地味な土木小ネタシリーズ。今回はコンクリートの性質や、コンクリートをもっと強くするための工夫を紹介します。
過去に書いた以下の記事の内容と若干関係があります。
コンクリートの性質。
コンクリートとはセメント・水・砂・砂利(じゃり)を練り混ぜて固まらせたもので、古くから構造物を作る材料として使用されています。
ただしその性質は、圧縮力には強いが引張力に対しては極めて弱いという特徴があります。
下図のように両端を支えられたコンクリートの棒状のものに荷重(=力)が作用したとしましょう。
上側は圧縮力が働き、圧縮応力が発生します。下側には引張力が働き、引張応力が発生します。
棒状のものが下向きに反るイメージでしょうか。
コンクリートの引張強度は圧縮強度の1/10程と極端に弱いのです。
つまり、荷重が作用しても上側は何ともないのですが、下側は割れたり壊れたりします。
その引張力に弱い性質をどう克服するか?
コンクリート単体では上記のように引張側が壊れます。だったら引張側に何かを入れて補強すれば良いのです。
引張強度がコンクリートよりも数段大きい(=引張力に対して強い)鉄筋※1を下側に配置しましょう。これを鉄筋コンクリートと言います。
上側は圧縮力に強いコンクリートで抵抗する。下側は引張力に強い鉄筋で抵抗させる。応力的には理に適っています。
ただし、鉄筋コンクリートもコンクリートの中に鉄筋を入れて補強はしているものの、荷重が大きなると引張力によってコンクリートに引張応力が発生して、ひび割れが発生します。
そこから塩分や有害物が浸入してきて錆が発生します。錆は鉄筋の引張強度を低下させます。
プレストレストコンクリートが全て解消してくれる。
要は荷重が作用しても、コンクリートに引張応力が発生しないようにすればいいのです。
そこで考えられたのがプレストレストコンクリートです。コンクリートにストレスをかけるのです。
コンクリート中に配置されたPC鋼材※2を緊張することで部材の下側に大きな圧縮力(=ストレス)を与えておいて、上から荷重が作用しても引張力が発生しないようにしておきます。
あらかじめストレスを与えたコンクリートなので、プレストレストコンクリートと呼ばれています。
下図のように上向きに反らせておいて、上から荷重をかけても下向きに反らない=引張応力を発生させない。というイメージでしょうか。
こうすることで、下面に引張応力が発生せず、ひび割れを制御することが出来ます。
また、ストレスの与え方として、フルプレストレス(=引張応力を発生させない)とパーシャルプレストレス(=許容値以内の引張応力の発生を許す)の2種類ありますが、フルプレストレスで設計する場合が多いようです。
※1:鉄筋とは(wiki)
※2:PC鋼材とは(wiki)
プレストレストコンクリートについては以上です。
編集後記
プレストレスコンクリート、いかがでしたか?
人間はストレスがかかるのを嫌がりますが、コンクリートは何も言わずに我慢しています。
このプレストレスコンクリートの原理は、主にコンクリートで構成される(PC鋼材はコンクリートの中なので見えませんが)橋などに使われます。