如何お過ごしですか? 3回連続10cmです。
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今日は土木小ネタです。ややマニアックです。
道路橋示方書・同解説。
っていう本があります。簡単に言うと橋梁設計のための基準書みたいなものです。日本道路協会というところが発行しています。これに則って橋の設計をします。
これは平成24年版です。数年使うとぬり絵・落書きだらけになります。付箋も付けるはいいけど、多すぎて何に付けたか訳分からなくなります。
平成29年11月(実際に手に入ったのは平成30年初頭)に新しいやつが出版されました。
Ⅰ共通編、Ⅱ鋼橋・鋼部材編、Ⅲコンクリート橋・コンクリート部材編、Ⅳ下部構造編、Ⅴ耐震設計編の1セット5冊です。
ちょっと補足しますが、橋って色々な部位に分かれています。下図のような感じ。
道路橋示方書・同解説の遍歴。
で何が言いたいかというと、この本ちょいちょい(=時々)改定されるんです。
昭和40年代には以下のように、小刻みに部位ごとの指針として発行されていました。
道路橋下部構造設計指針 調査および設計一般篇 S41.11
鋼道路橋の合成ゲタ設計施工指針(昭和42年2月解説一部改訂版)
道路橋下部構造設計指針 橋台・橋脚の設計篇、直接基礎の設計篇 S43.3
道路橋下部構造設計指針(くい基礎の施工篇)S43.10
道路橋耐震設計指針・同解説 S47.4
道路橋下部構造設計指針(くい基礎の設計篇)S47.6
鋼道路橋施工便覧 S47.10
道路橋下部構造設計指針(場所打ちぐいの設計施工篇)S48.1
道路橋示方書・同解説Ⅰ共通編、Ⅱ鋼橋編 S48.2
道路橋下部構造設計指針・同解説(くい基礎の設計篇)S51.8
昭和55年5月にそれらを1セット5冊にまとめた『道路橋示方書・同解説』というのが出来ました。小刻みな部位ごとの指針が1セットにまとめられて便利になった(とのこと)。
以降、平成6年2月、平成8年12月、平成14年3月、平成24年3月、平成29年11月に改定を重ねてきました。
道路橋示方書・同解説と日本の地震の関係。
各改定の主な要因は以下の通りです。
平成6年改定時:車両の大型化への対応
平成8年改定時:平成7年1月の兵庫県南部地震の被害経験を踏まえて耐震設計を強化
平成14年改定時:性能規定型の技術基準を目指すとともに耐久性・耐震性の強化
平成24年改定時:東北地方太平洋沖地震や平成14年以降の地震の被災事例を踏まえた見直し
平成29年改定時:平成28年4月の熊本地震の被災および復旧の経験を踏まえて点検・修繕・維持管理を強化するとともに粘り強い丈夫な構造にする
昭和55年以降で5回の改定が行われていますが、その5回のうち地震が直接の要因である改定が3回です。道路協会がいかに地震を意識しているか分かるでしょう。
想定外という言葉。
橋梁設計においては過去の苦い経験をその都度生かして、基準を改定して強化した橋を作ってきたわけです。
最近、想定外という言葉をよく耳にすると思います。過去の地震はその性質や波形が管理されているので対応できますが、地震も1回1回違います。
まして未来に起こる地震を全て管理することは難しいというか無理です。一言で片づけるには乱暴ですが想定外なのです。強化しては壊れ、壊れては強化するの繰り返しです。
それでも、せめて過去に起こった規模の地震だけには耐えられるように基準を強化して頑丈な橋を作ろうと業界全体が努力しています。
どうかご理解ください。
編集後記。
橋梁の基準類と地震の関係、いかがでしたか?ちょっとマニアックすぎましたね。
構造物としての橋梁の真の敵は地震なのです。そりゃ、湯水のように金をぶちこんだら多少なりとも頑丈にはなりますが、また税金上がりますからねw。